1.国公立大学入試の概要 |
今春の国公立大学のべ合格者数 159名/310名(全卒業者数・8学級) ※前期合格者数:107名 中後期合格者数:52名 ※1学級(他校との比較のため40名で換算)あたり19.9人 ※合格率(対卒業者数)51.3% 史上第1位 |
今春の大学入試はセンター試験が大幅に易化、5(6)教科7科目集計の平均点が前年度に比較して約30点アップするという波乱含みの幕開けとなりました。 理系の要である「物理」および「世界史B」で全国平均点を下回るという痛恨の痛手を負った本校は、全国的に強気志向の嵐が吹き荒れる中、学年団と進路指導部で慎重に協議した結果、あくまでも保護者の要請に応え、生徒の現役合格を目指す堅実な路線で行くことを確認しました。 本校では進学校にありがちな生徒の希望をねじ曲げてまでも国公立大学合格者数を稼ごうとする強引な進路指導(失礼)を嫌い、「志を高く持ち、易きに流れない」という理念の下、生徒の希望を最大限に尊重した進路指導に重きを置いています。また知名度の如何によらず、目先の進路のその先の「出口=就職」の部分を重視した学校選択を推奨しています(たとえ地元の大学であっても、その部分が駄目な大学にはなるべく生徒を受験させないようにしています)。方針が決定したことによって、前期はあくまでも挑戦、中後期は確実に合格出来そうな所をおさえるという「長期戦」にもつれ込むことが確定しました。 昨年、一昨年と2年連続で普通科から合格者が続いた東大は、今年は文系1名、理系2名の合計3名が受験しましたが、「ドラゴン桜」に代表される東大ブームのあおりをくらってしまい、残念ながら合格を勝ち取ることが出来ませんでした。後輩の皆さんに頑張ってもらい、次年度は是非今年の分も合わせ、最低2名は合格して欲しいと思っています。また本校ではなぜか例年京大、一橋大等の受験希望者がほとんどいませんので、あわせて挑戦者を募集中です。 近年ますます難化が進行している医学部は好調で、札医大3名、自治医大(私立)1名の4名が現役合格し、久しぶりに理数科の面目躍如と言った所です。浪人生は北大1名、札医大1名、旭医大1名が合格しました。(いずれも理数科出身です) 超難関校では東工大に現役2名、浪人1名が合格、東京外語大に現役2名が合格、いずれも普通科と、今年は普通科の健闘が目立ちました。 北大については今年は不調で、現役13名、浪人6名、あわせて19名という少々不本意な結果に終わりました。原因は志望者自体が例年よりも少なかったこと、および医学部保健学科(看護や理学療法や作業療法)が人気でそこに一極集中、本校生徒の中で「喰い合い」が起こってしまったことの2点があげられます。(ちなみに本校の北大合格率は約30〜35%の間で推移し、ほとんど年度による変動はありません。) 長年のつきあいがある弘前大については数年ぶりに大量の現役16人が合格、その他の国公立大については「上級学校合格者数一覧(過去3年間)」を参照して下さい。数字を見ていただくと一目瞭然だと思いますが、上から下まで実にバランス良く合格しています。近年本校では道内にこだわらず全国を視野に入れた受験を推奨していますが、道外合格者も近年徐々に増加の傾向にあるのは嬉しい限りです。 尚、過去「進路通信」や生徒・保護者対象進路説明会等で繰り返しお伝えしてきた通り、今春の国公立大学入試には大きな目玉がありました。新設される名寄市立大学と札幌市立大学です。本年度、この2校の一般選抜試験は大学入試センター試験の受験が必要なく、また他の国公立大学との併願が可能でした。加えて新設校は大学の評価を就職に力を注ぐため、本校の重視する「出口」の部分も十分に期待できます。本校生徒はこのチャンスを見事に生かしてくれました。「湖陵高校は数を稼ぐために公立大ばかり狙わせた」と言われると心外ですので、参考までにかなりの激戦となった2校の倍率をあげておきます。 |
名寄市立大学(栄養6.2倍・看護14.7倍・社福4.7倍) 札幌市立大学(デザイン7.7倍、看護16.9倍) |
手前味噌ながら本校の生徒は道内のどこの進学校の生徒よりも頑張っていると、自信を持って言えるのではないかと思います。しかし、本校生徒の持つ無限の能力と可能性とを鑑みた時に、出来ればもうワンランクずつ全体的にアップさせたいというのが、進路指導部長の本音です。おそらく保護者・同窓生の皆様も同様の気持ちを抱いていらっしゃるのではないかと思います。学校側は授業・講習の充実、そして生徒の皆さんはまったく十分とは言い難い家庭学習(平均学習時間が1〜2時間とは情けない…)の充実と、改善の余地は山ほど残されています。一歩一歩問題点を改善して、より素晴らしい「湖陵」を築き上げていきたいものだとしみじみ思います。 |
2.私立大学入試の概要 |
「私文国理」(文系なら私立、理系なら国公立が望ましい)が現在の大学入試の原則です。国公立大学入試が好調な年はどうしても私立大学入試は不調になってしまう傾向にありますが、本年度はその傾向に陥ってしまったようです。「上級学校合格者数一覧(過去3年間)」を参照していただければわかるように、残念ながら「私文」の方は、あまり振るいませんでした。 近年首都圏の私立大学は少子化の影響もあってか、完全に二極化の傾向にあります。「早慶上智」や「MARCH(明治・青学・立教・中央・法政)」)といった著名難関私立大学に人気が集中し入試は難化、「日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)」をボーダーラインとして、それ以下の私立大学は極端に易化、「全入」の時代を迎えつつあるのが現状です。 将来の「出口」を重視する本校としては、生徒の皆さんには少なくとも「MARCH」かその下の「成成明学國武(成蹊・成城・明治学院・学習院・國學院・武蔵)」にもっともっと多く合格して欲しい所ですが、本校生徒の場合は、首都圏の受験生と比較すると、明らかに絶対的な学習量が不足しており、それが不振の直接的な原因になっている思います。 今年の卒業生の皆さんを見ても、2年生の3月の時点で苦しさから受験教科・科目を絞り、私大専願とした人はあまり良い結果を出せていないようです。やはり苦しくとも最後まで、どの教科・科目も投げ出さずに頑張った人が国公立も私立も両方合格しているという事実は、何事に対しても最後まで諦めず、根気強く頑張ることが勝利につながるということの証明なのではないでしょうか。 私大専願の皆さんに教科・科目を絞ると失敗すると脅しをかけているわけではありませんので、くれぐれも誤解しないで下さいね。それが単純な「逃げ」にならないよう、教科・科目を絞り込んだら絞り込んだ分だけ濃密な勉強を心がけなければ、より高次の目標を達成することは難しい世の中になったということです。国公立大学の項の最後でも述べましたが、湖陵生には私立大学入試においてももっと頑張って、現在よりワンランク上のレベルの、皆さんが生涯を託すにふさわしい大学に進学して欲しいと願っています。 いまだ興奮冷めやらぬせいか、本号は妙にまとまりのない文章になってしまい申し訳ありません。本日より新しい年度がスタートしました。今度はいよいよ受験生となる浅野学年の皆さんが主役です。先輩達の大記録に臆することなく、湖陵生としての誇りを持って、「追いつけ、追い越せ」の精神ででいきましょうね。先生方も少しでも皆さんの役に立てるよう頑張ります。 湖陵には現在、確かに「追い風」が吹き始めています。 |
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かつて旭川東が札幌の一極集中に反旗を翻し独自路線を打ち出した時、道内のほとんどの進学校が「無謀だ」と笑いましたが、現在旭川東を笑える学校はただの一校もありません。本校もそれにならい、そろそろ満を持して「本丸取り」に行くことを宣言したいと思います。データからおわかりのように、かつての旭川東以上に多くのハンデを背負いながら、質量共に充実させていくことは至難の業ですが、頑張っていく所存です。懇意にしている駿台教務本部長の小島氏が「北海道は10年遅れている」と嘆かれていました。盲信的に国公立大学(特に北大)の合格者数を増やせばいいという考えを捨て、もっと生徒の将来を真摯に見据え、出来る限り可能性を拡げてやることが出来るような、全国を視野に入れた柔軟で充実した進路指導を本校は目指しています。 同窓生の皆様におかれましては、相変わりませぬご支援をお願い申し上げます。 |